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トヨタモビリティ東京×江戸川区が描く、「共生社会」実現への道しるべとは?

2021.03.30

 2019年に江戸川区と地域活性化包括連携協定を締結し、江戸川区と本気で「共生社会」「SDGs」の実現・達成を目指すトヨタモビリティ東京株式会社。
 今回は、江戸川区内にも13店舗を構えるトヨタモビリティ東京株式会社 代表取締役社長 片山守様にお話しを伺いました。

トヨタモビリティ東京 片山守社長 【江戸川中央店】

トヨタモビリティ東京 片山守社長 【江戸川中央店】

「トヨタモビリティ東京」とは?

「東京に住む全ての人が憧れる企業像を目指す」という理念に向けて

 トヨタモビリティ東京は、時代の変化に対応すべく体制を一新してできた会社です。実はこれまでは、東京都内にあるトヨタの販売店でも会社が違って同じ車を販売する競合関係でした。
 「東京トヨタ」「東京トヨペット」「トヨタ東京カローラ」「ネッツトヨタ東京」の4つあった販売チャネルと「トヨタ東京販売ホールディングス」の、計5社を融合し、2019年4月に、7,500人以上の社員と都内に230を超える事業所を持つ1つの企業となりました。
 みなさんから見ると、東京都内すべてのトヨタのお店がトヨタモビリティ東京というひとつの会社の店舗になったのです。

 同じトヨタグループの同業種ではありましたが、各社ともオペレーションや人事・賃金の制度も様々でした。それぞれが取り組んでいることや考えていることへの相互理解を深めるため情報共有ツールを導入し、お互いがコミュニケーションを取りやすい環境を整えることに注力しています。同時に、全員が同じベクトルで目標に向けて走っていけるよう、「東京に住む全ての人が憧れる企業像を目指す」という理念を掲げています。

東京に住む全ての人が憧れる企業像を目指して

東京に住む全ての人が憧れる企業像を目指して

2019年に締結した江戸川区との連携協定と具体的な取り組みを教えてください。

 弊社は江戸川区と地域活性化包括連携協定を2019年に締結しました。弊社が自治体と協定を結んだのは江戸川区が2例目でしたが、実績を伴った協定としては初めてと言っても過言ではありません。

 協定に基づく、代表的な取り組みが新型コロナウィルス感染者移送用の車両提供です。トヨタ自動車の技術的な支援を受けて感染対策のための特殊改装を施したトヨタ「JPN TAXI」を用意し、江戸川区にお貸ししました。江戸川区のご担当者様からは、この車両を活用して、多くの方々を搬送していると聞いており、区民の皆様のお役にたっていることをとても嬉しく思っています。

 また、防災面においては、江戸川区と「災害時における帰宅困難者の一時滞在施設に関する協定」「災害時における応急物資の貸与に関する協定」を締結しており、災害時には、店舗を地域の身近な防災拠点にしていきます。

斉藤江戸川区長から片山社長に感謝状をお渡しした時の様子

斉藤江戸川区長から片山社長に感謝状をお渡しした時の様子

江戸川中央店と地域との関係について教えてください

常設のボッチャコート

 この江戸川中央店は、都内でも最大規模を誇る大型店です。この店舗を核として、何か地域のお役に立てないかと考え、行った取り組みの1つがパラリンピックの正式種目でもある「ボッチャ」のコートの設置でした。カーディーラーの中にボッチャコートがあるのは全国的にもとても珍しく、来店されるお客様も大変驚かれます。以前、NHKの情報番組で取り上げていただいたこともありました。
 今では地域にも認知されており、障害のある子どもたちや地元町会の皆様など、多くの皆様にご利用されています。このスペースで練習をされる方の中には、大会で好成績を納める方も出てきています。時には、現役のパラリンピアンが来て、障害のある子どもたちを指導してくれることもあるんですよ。
 また、昨年には、このボッチャコートの隣に、ウェルキャブ(福祉車両)を展示する「ウェルキャブステーション」を設置しました。ここを拠点に、スポーツ・福祉の両面から、地域の皆様の生活を豊かにするお手伝いをしていきたいと思います。

ボッチャ体験会の様子(現在はコロナ対策の為、実施しておりません)

ボッチャ体験会の様子(現在はコロナ対策の為、実施しておりません)

地域の身近な避難場所

 江戸川区は海抜ゼロメートル地帯が多く存在していることから、常に災害リスクを抱えています。江戸川中央店がある場所も、大規模水害時には浸水のリスクがありますが、建物は丈夫です。そのため、“海抜ゼロメートル地帯”だからこそ必要となる地域の身近な避難所としての機能を強く意識しました。
 そこで、緊急時の食糧を備蓄するとともに、大容量貯水タンク「マルチアクア」を導入しました。1本で120Lの水道水を貯水できるマルチアクアを、江戸川中央店には18本設置し、150人の地域の方が避難してきても3日間過ごすことが可能な2,000L以上の飲料水を常時確保しています。
 また店舗には、いざというときに給電もできる「プリウスPHV」も配備し、満充電の車両1台で一般家庭4.5日分の電力を供給できるようになっています。実際の災害時には地域の防災拠点に貸し出し、停電時の電源確保に役立てます。加えて、水害の際の移動手段でもあるゴムボートも用意し、急病人等の搬送にも役立てたいと考えています。

地域コミュニティの拠点機能と新たなサービスの創出

 江戸川中央店は冷暖房完備のうえ、広いスペースがあるため、地域の方々が集い、交流する場所としても機能しています。例えば、敬老の日には、パートナーシップを結んでいる信用金庫さんとともに、地域の高齢者とそのお孫さんが一緒に交通安全を学べるイベントも開催しました。
 また、防災や地域イベントなどに関するワークショップも定期的に行われています。このようなワークショップの中から新たに生まれたサービスの1つが「ジモトヨタ」です。
 「ジモトヨタ」とは、地域の方々が特定のお店で商品を購入した際、その商品を自宅まで配送するサービスです。このサービスは、正直、販売店の売上には直結しませんが、小さな子どもを抱えて手が塞がっている方や、ご高齢で商品の持ち帰りが難しい方などへのサービス提供を通じて、地域に愛され、いつでもだれでも利用できる店舗になれば幸いです。

毎日区内を走っている「ジモトヨタ」

毎日区内を走っている「ジモトヨタ」

今後の「共生社会」「SDGs」の取り組みについて教えてください

SDGsをきっかけに、企業としてさらなる挑戦を

 SDGsはあくまできっかけで、企業としての持続可能性を念頭に、今後も常に新しい手を打ち続けていきます。例えば新店舗には随時ハイブリッドカーであるプリウスの廃バッテリーを活用し、太陽光で発電した電気を貯めて使えるようなシステムを導入しています。このような店舗を増やすことで、クリーンエネルギーの活用ができ、同時に災害時にもお役に立てるのではないかと思います。
 また、お客様のご理解を頂きながら、「引き取り納車」の割合を減らすことで、その往復に排出されるCO2を減らすことなど、できることから取り組んでいます。
 さらに、東京ハイヤー・タクシー協会ともパートナーシップを締結しており、都内の店舗すべての化粧室を女性乗務員に向けて解放し、近年増える女性乗務員の就労環境の向上を支援しジェンダーギャップの改善も図っています。
 あわせて、デジタルトランスフォーメーションもさらに加速させていきます。社員の作業環境の改善・効率化を図ることは、「ペーパーレス」や、社員を勤務地の制約から解放し、通勤時の環境負荷の低減にもつながります。同時にお客様の大切な時間を節約でき、社員も家族と過ごす時間が増えるなど、皆にとって良い効果が得られると思っています。

江戸川区が目指す共生社会の実現に向けて

 江戸川区や地域の方々とは、江戸川中央店を拠点として、今まで行ってきた取り組みを更に推進することで、江戸川区が目指す共生社会の実現に寄与したいと考えてます。障害のある方やご高齢の方々がいつでも気軽に来店できるような、自動車を買うだけの場所ではなく今まで以上に「地域に根差した」店舗になっていければと思っています。ふらっと来ていただき店長にも気軽に話しかけてください。

 江戸川区とはこれまで様々な取り組みをご一緒させていただき「感謝」の二文字しかありませんが、今後もさらに連携を深めていければと思います。
 また区内の事業者同士の連携も更に深め、これら企業のネットワークが「地域から愛される企業連合」になっていけるよう、私たちが“扇の要”として一層努力していきます。

江戸川中央店では佐藤店長が笑顔でみなさまのご来店をお待ちしております!

江戸川中央店では佐藤店長が笑顔でみなさまのご来店をお待ちしております!

今回の話を聞いた方
(※記事中の役職名は取材当時のもの)

片山守 氏

片山守 氏

名古屋市立大学経済学部卒業後、1978年トヨタ自動車(株)入社。入社以来宣伝部、車両部、研修センターなど国内営業各部を経験したのち、トヨタ直営販売店3社の代表取締役社長を歴任。2019年4月より東京地区トヨタ直営販売店4社とホールディング会社が統合したトヨタモビリティ東京(株)の代表取締役社長に就任。環境変化の最も著しい東京において、新たなモビリティ社会へ向けたビジネスモデル変革と働き方変革を牽引する。